会社設立費用はいくら？起業構想から設立前準備、法務局での設立登記まで

（2020.9.24に執筆しました）

自分で新しく事業をやろうと決意する、それは、起業でも、新規事業でも、副業でもいいのですが、ここが一番楽しい（実際は、苦しい？）ところです。

頭の中の内容を紙に落とし、調べて、シミュレーションをし、先人の話を聞いて回り、数枚のレポート（少ないほど良い）にまとめます。

プレゼンの練習をし、ようやくそれから、壁打ち・・・を繰り返します。現実を否応なしに突きつけられる機会となります。

ダメ出しさせても気落ちせずに、とことんやりましょう。打開方法が見えてくるまで、ブラッシュアップを重ねて、ようやくそれっぽい事業計画ができあがります。実際は、それでも実のあるものはなかなかできないのですが… 会社設立前の準備から、設立手続にいたるまでのステップはおよそ以下の流れとなります。

会社設立前準備、設立手続まで

本ページは、会社設立前準備、設立手続までを取り扱います。

会社設立前の準備

設立する会社の違い（株式会社、合同会社、社団法人etc.）で、設立に係る費用とプロセスに違いがありますが、一般的な株式会社を設立するとします。

取引先や想定する事業規模がすでに決まっているスモールビジネスの企業、あるいは、会社法の定めによる決算対応をしたくない外資系企業の日本法人etc.でなければ、企業信用等を加味して、普通に株式会社の設立でいいと思います。

会社の基本事項を決める

基本事項とは、一般的には以下のものです。

１．商号を決める（社名の決定）
２．事業目的を決める（会社が行う事業内容の決定）
３．本店の所在地を定める
４．資本金の決定
５．発起人の決定（出資者の決定）
６．株式譲渡制限の有無を決定（会社の定款に株式譲渡制限を加えるか否かを決める）
７．事業年度の決定
８．機関設計（取締役や監査役等の会社役員、及びその任期、組織構成の決定）

頭を悩ますとしたら社名とロゴぐらいでしょうか。あとは、消費税を最初の２年間は払わないでいいように、まずは資本金の額を1,000万円未満に設定するとよいでしょう。

システム開発、先行広告費で、赤字ばんばん垂れ流しても最初からエクイティ調達する、調達資金でさらにがんがん赤（ユーザー獲得費用）を掘るみたいな考え方であれば、初年度の消費税還付を考えて、資本金の金額を気にする必要はありません。

うまくいけば、エクイティの増加で、あっという間に資本金の額は1,000万円を超えていきますし、うまくいかなければ会社を畳むだけです。

あとは、株式会社の基本事項ではないものの、

９．決算公告の方法（官報公告、新聞公告、電子公告から選ぶ）
１０．発行可能株式総数と発行済株式総数の決定

を決めておく必要があります。

電子公告にすると毎年の官報掲載代の節約（７万円超/年）になりますが、パブリックカンパニーたる上場企業でもなければ、会社の資産（負債）状況と当期利益をホームページに載せても特にいいこともないので官報公告にしておきます。

関係者は、官報など見ていません（おそらく…）。

印鑑証明書の取り寄せ

発起人と取締役（代表取締役）就任予定者の分を１部ずつ取得しておきます。発起人と取締役を兼ねるなら登記申請時に２部必要となります。

法人印（印鑑）もこのタイミングで作成しましょう。

Web通販、10,000円以下でさくっと作れます。最初からここに拘っても仕方ないです。例えば、このようなオンラインショップで短納期、低コストで作成が可能です。

印鑑の匠ドットコム

請求書、レシートをきっちり保管しておく

創立費、開業費で事後に経費精算ができるので、設立前にかかった経費の請求書もきっちり保管しておきます。案外、設立前から費用がかかります。

設立手続

設立手続を代行してくれる、行政書士、司法書士、税理士に任せずに自分でやってみましょう。ICカードリーダー（パソリ、FeLiCa etc.）、電子書類作成用のAdobe Acrobat（月契約）を用意して、自身で電子定款認証をすると、設立費用の節約になります。

電子署名ができるように、個人のマイナンバーカードの登録と電子署名の設定を各市町村役場でしておくのも事前準備として必要です。

会社が動き出してからも、行政のオンライン提出を自分で行い、コスト削減できる機会がこの後も何度も出てきます！

一方で、設立登記は、電子申請でも対面で直接申請してもかかる金額は変わりません。

定款の作成

前述の会社の基本事項その他を踏まえて、定款を作成します。Money Forwardやfreeeといったクラウド会計ツールを使ってもいいですし、自分でWord使って書いても構いません。

“定款”、“雛形”で検索すれば、いくらでもそれっぽいものが見つかるでしょう。また、定款はPDF化しておきます。

定款の認証費用（株式会社の場合）

コスト	電子定款	紙の定款
定款印紙代	０円	４万円
公証人認証手数料	５万円	５万円
謄本交付手数料（定款）	２千円ほど（250円/頁）	２千円ほど（250円/頁）
登録免許税	資本金の0.7％（最低15万円）	資本金の0.7％（最低15万円）

なるべく、定款印紙代を払いたくないのであれば、自身でオンラインが可能です。行政のシステムなので、慣れるまでは手探りですが。

登記供託オンライン申請システム

申請用総合ソフトのインストール

ここで、地方法務局に所属する公証役場との電話でのやり取りが発生します。

電子定款データを送信して、手続完了の連絡が電話で来ると、ようやく公証役場まで直接出向いて受取をすることとなります。

公証人認証手数料と謄本交付手数料は、現金でこの時に支払をします。

出資金の払い込み

株主になる予定の者は、定款に記載の通りの金額を、誰からの振込か明確になるように、発起人の銀行口座に払い込みをします。

通常、会社名義の銀行口座はまだ出来ておらず、登記申請を行う日までに、入金が完了している必要があります。

登記の法務局での申請

登記申請書、及びその添付書類、登記するべき事項を記載したデータ（CDR）、定款の謄本、印鑑証明書、出資金の払込証明書（１セット）、印鑑届出書、現金（印紙を購入するため）などを持参します。

商業・法人登記の申請書様式

最初は申請書の別紙にあれこれ申請内容を記載していましたが、２回目からは登記申請書にベタ打ちして記載するようにしました。要は慣れです。

まとめ（会社設立費用、会社設立前準備、設立手続）

コストと労力の見合い

各専門家のホームページを見ていますと「会社設立手続、なかでも電子認証の申請手続は、コスト削減ができるものの、多くの時間と労力を費やすことになり、またかなり複雑です、専門家に任せるのをおススメします！」と記載があります。

実際は、そのような専門家の手を借りなくてもいいように、自身で一貫して手続ができるように、電子申請制度が作られているわけです。

Web記事等を調べながら、自身で会社の設立手続をしてみましょう。難解な面もあるにはありますが、高度に専門的な知識も手続も特段不要です。

それでも設立手続に詰まってしまったら

それでも途中で詰まってしまったら、専門家でも、Webの相談サイト、過去の経験者に聞いてみると良いです。

専門家や相談サイトはそれ自体がビジネスですし、経験者も優しく教えてくれるでしょう。だって、その後の会社を設立してからの方が、よっぽど大変なのですから。

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