12月、1月に行う年末調整、法定調書の実務、ITツールを用いた効率的な業務の進め方
例年12~2月に対応するべき税務会計領域、労務、経理のタスクは大きく分けて以下の業務があります。
① 年末調整(12/31まで)
② 源泉税の納期の特例分の納付(1/20まで)
③ 期末決算(12月決算の法人:1/31まで)
④ 法定調書(源泉徴収票、給与支払報告書、支払調書、法定調書合計表)の提出(1/31まで)
⑤ 償却資産申告書(1/31まで)
⑥ 法人税の税務申告(12月決算の法人:2/28まで)
⑦ 所得税の確定申告(個人:3/15まで)
むろんのこと、公認会計士である私もWebマーケティングのルーチン、営業活動に加えて、絶賛、上記税務会計領域のデリバリーに関わっている真っ最中であり、1年で最も忙しい時期を過ごしています。
あとは、プロジェクトベースのもの、自分のとこの新しい取り組みがいくつかあって、必然的に多数同時並行で進めており、年末年始はオン/オフの無い時間を過ごしていました。
おかげさまで、あと⑥と、⑦がいくつかまでようやく鎮静化したので、Webマーケティングの時間を取れるようになっています。新しい試みをいろいろ試してみたい!
自分個人の⑦はとっくの昔に、なんなら12/31までに全部終わりました。
職業上、専門家への報酬として源泉徴収が必ずされるため、基本的には還付申告書となり1/1から提出できます。
したがってなるべく、かなり早く提出したいのですが、会計システム側の令和2年版確定申告のリリースが追い付いていないようです。はよしてくれ!
① 年末調整の業務フロー
令和2年の、「①年末調整」について、大きな法改正があり、まずはそのキャッチアップから始めたように記憶しています。
外部のセミナー等に参加しなくても、地道な学習時間にはなりますが、上記(特に動画)の座学での対応で、年末調整の仕方、改正内容のキャッチアップは可能かと思います。
およそ、土曜日のAMを潰せばなんとかなります。朝、起きることができればですが…
細かい改正の内容はさておき、行政の出しているITツール、システム、普段使っている会社の給与計算ソフトの「年末調整機能」を使いこなすことで、業務の簡略化、再現化が可能となるので、賢く仕事するにはどのように使うのが良いか、順に書いていきます。
「年調ソフト」の利用
「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(以下、「年調ソフト」といいます。)というITツールを国税庁が公開しています。
趣旨としては、旧来の紙ベースでの従業員と会社総務(ないし、社労士事務所、税理士事務所)間の年調基礎資料の提出を、従業員の手によるオンラインベースでの提出が出来るようにしたものです。
それはそれでいいとして、会社労務、経理自体は年調基礎資料の提出自体が紙ベースであろうと、オンラインベースであろうと、旧来ベースの年末調整の手続を行うことになるので、正直「年調ソフト」を使ったからといって、業務が圧倒的に効率的になるというものではありません。
やはり、知っている労務担当者なり経理担当者が、従業員より回収した年調基礎資料を用いて、給与計算ソフト内の「年末調整機能」内で処理していくほうが、間違いも少なく、また大きく手順が変わるわけでもないので、結果的には容易です。
とはいうものの、新し物好きなので、この「年調ソフト」を試してみました。
従業員向け、クライアント様向けの年調基礎資料の記入インストラクションを作成する代わりにはなるのかな、なればいいな、といったぐらいです。
もちろん従業員が1,000人を超えるような会社だと、効率化のメリットは多少あるのでしょうが、出てくるものの水準、正否もバラバラで、結局のところ受け手側でも時間を使って検証をしなければならず、抜本的に業務効率が高まるというものでもなさそうです。
給与計算ソフトの「年末調整機能」の利用
通期のインプットされた給与、保険料、源泉所得税の金額、従業員の扶養者情報、住民税の納付先、先ほどの「年調ソフト」の成果物等をもとに、源泉徴収票、給与支払報告書まで市販ソフト、給与クラウドの「年末調整機能」を用いてデータ作成ができます。
給与計算ソフト、給与クラウドにもよりますが、給与に加えて、報酬や不動産利用料に係る支払調書、法定調書合計表までが作成可能だと、とても良いですね。
およそ、給与システムと会計システムの連動は、会計データが給与データ側に流れるということは想定しづらく(逆はあっても)、自分のよく使っている給与クラウド(マネーフォワード)もそうですが、支払調書は個別に必要項目をインプットすることになりがちです。
一度、支払調書の登録、フォーマットを支払先ごとに作ってしまうと、次年度以降、劇的に楽になるかと思いますが。
④ 法定調書(源泉徴収票、給与支払報告書、支払調書、法定調書合計表)の業務フロー
源泉徴収票と給与支払報告書は提出先により名称が異なれど、内容は全く同じなので、従業員情報の登録がされていれば、それを基に給与計算ツールよりはき出されてきます。
所轄税務署と従業員のお住まいの各自治体向けに必要枚数を発送して終了です。
従業員数に応じて、手間が比例的に増加するぐらいです。これは想定内ですね。
支払調書、法定調書合計表については、専門家への報酬(顧問料)、個人大家さんへの賃料など、毎月およそ支出のあるものについては、1~12月分を毎月ごと、支払の目的ごとに、各自治体が公開しているエクセルシートか、労務/会計システムの支払調書摘要欄に打ち込んでいきます。まあまあ手間です。
不動産賃貸の礼金、権利金、初期契約料などの一発ものは、仕訳帳、総勘定元帳を検索しながら該当するものを探して内容を記入します。期首頃にあった取引などだいたい忘れてしまっています。
これも、法定調書合計表を表紙に各支払調書をセットして、税務署に送付するまでが必要タスクです。
税務署提出のものが多くなるので、まとめて1回で送付できるように、しっかりスケジュール管理したうえで、順序良く作成していきたいところです。
e-Taxによる電子提出
税務署向けの提出物は、e-Taxで電子提出が可能です。
e-Taxソフトは個人の所得税の確定申告でも使うので、なんでも自分でできちゃう事業主の方は是非インストール、使いこなしていただきたいです。
給与所得をベースとする個人の確定申告であれば、国税庁のWebブラウザより簡単に出力、送信できますが、例えば青色申告をする個人事業主の方であれば作成/提出枚数も多くなるので、e-Taxの使い方を覚えて損はありません。
eLTAXによる電子提出
都税、県税、市町村税の税務申告書提出、及び住民税関連の提出にはeLTAXがあります。
e-Taxになれたら、こちらも是非。
つまるところの一連の手続を終えてみての所感
冒頭に挙げた、12~2月に対応するべき税務会計領域、労務、経理のタスクのうち、①と④に関するものだけでも、かなりの業務ボリュームがあります。
知識、慣れに依存するところも大きく、また、ITツール、システムを利用することで、時間及び作業量の効率化が可能です。
毎年、国民の義務としての納税手続として行うことを考えれば、ルーチン化、フォーマット化、自己資産化を念頭に、業務ステップに落とし込んでいくことは有用かと思います。
あとは、クライアント様への依頼が五月雨式となりご迷惑をかけかねないとか、意思疎通と理解が十分でないと、相手方の準備時間、作業時間を踏まえた余裕のあるデリバリーが行えずちょっとしたミスマッチが発生しかねないとか、思うところはありました。
昨日よりも今日、今日よりも明日、より良くしていければと思います。
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